![]() いつか田舎で暮らそうかな
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僕達は何か欲しいものがあると、まずそれがいくらするのか考えることが癖になっている。お金がない時代はどうだったのだろうか? 僕はたまたまモノを創ってお金と交換する仕事をさせてもらっている。貨幣が無ければ当然物々交換になるか、労働で奉仕することになるはずだ。先日、田舎に住む友人の彫刻家の工房を訪ねると御影石のテーブルにさつまいもが山盛りに置いてあった。気がつくと他にも玉葱やじゃがいも、カボチャ、野菜類が山積みだった。僕が驚いていると彼は僕が昔焼いた無骨な土鍋を出してきて猪鍋を御馳走してくれた。酒に酔うといつも「小野くんもここで暮らせ」と言う。水は旨い。野菜もある。肉もある。住まいも旧いが味がある。無いのは現金収入だけだ。僕の心はいつも揺れる。 |