先日、組合の青年部でちょっとした展示会をしていたのだが、当日少し遅れて準備に入った。会場に入るなり、僕はあまりの惨状に思わず「なにやってんだ!」と声を荒げてしまった。担当の一人が飛んできて「なにか不都合でも?」と言うので、「不都合もひろみ・ごーも無い!(実際にはそんなことは言ってないよ)誰だ!
この受付を設営したやつは!」と怒声をあげた。
「あの…、僕ですが…」ここ二、三年青年部に入ったばかりの若造だ。
「この受付に明日、誰が座るのか、おまえはわかってんのか!」
「あっ、はい、銀行の女の子が受付やってくれることになってるんですが…」「それがわかっていて、どうしてこんなことをするんだ!」
「こんなこととは?」
「まだわからないのか!
若い女の子が座ることがわかっていて、どうしてこのテーブルを使うんだ!」
「あっ!」 その場にいた全員が凍りついた。
その会場には二種類のテーブルがあった。一つはテーブルの下の方に目隠しの板がついていたが、もう一つの方はついていない。
「どうして、わざわざ目隠しのついてるテーブルを使うんだ!
これじゃ女の子の足が見えんだろうが。すぐテーブルを交換しろ!」「あっ、はい」
その時、皆は僕を尊敬のまなざしで見つめていた。
「さすが柴田さんだ。着眼点が違う」「柴田さんの指摘がなければ、僕たち青年部は、期間中ずっと、絶望の日々を送らなければならないとこだった」「だてに四〇過ぎても青年部にいるわけじゃないなあ」…。
「柴田さん、すいません。僕はとんだ甘ちゃんでした」さっきの若造が、肩をふるわせながら言った。
「まあ、俺もそれなりに修羅場をくぐってきてるからな。そう気にするな、何事も経験だ!
さあ、明日から展示会だ。しっかり女の子の足を見ようぜ!」「柴田さ〜ん」
その時、ようやく僕たちはひとつになれたのである。 |