ケータイ初心者の想い    文・小野 穣
     

 携帯電話を持つようになって8カ月になる。便利だと感じることは確かに多い。 知り合いも少し増え、情報に助けられることもしばしばである。ただ、メールでの短いやり取りでちょっとイタイメにあったことがあった。
知り合って2年目の友人から一方的な感情をそのまま送信されてしばらく胃が痛くなったことがあった。 直接会って話すには言いにくいこともメールでは平気らしく、普段のその人からは全く考えられない怒りの感情がメールには込められていた。 僕はこれまでその人とその人の友人をできるだけ大切にしていたつもりだし失礼なことは全くしていないと誓ってもいい。 なぜそんなことになったか、詳しくは説明できないのだが、友人が異性だったということと、携帯のメールは「相手も理解してくれるだろう」と短く省いてしまうことが多く、タイミングが悪いと誤解してとられることがあるのだ。 結局その人が普段僕のことをどう思っているか分かる良い機会になったのだが、メールを出しても帰ってこないことが多くなり、付き合いも疎遠になってしまった。お互いに自分が恥ずかしくなったのだと思う。
 携帯電話がなかった時は友達と3カ月くらい連絡がなくても「ひさしぶり」とは感じなかったような気がする。相手のことをもう少し思いやっていたような気がする。 いつでも自分の都合で時間や場所に関係なく連絡をとることができるようになってから、僕らは相手が「どこに」「どんな状況で」「どんな立場にいるのか」考えることができなくなってしまった。 気が付くと昔に比べて気が短くなった自分がいる。そして携帯は僕の時間を確実に速く流しているような気がする。