私は私でいたいから    文・水谷晴子

 

 結婚式で神父さんが「誓いますか?」と聞く、決り文句で「誓います」と応える。
 誓うくせに、別れてしまう人のなんと多いことか…。
 結婚は永久就職であり簡単に転職できず、慎重になりすぎると、誰が決めた事なのか適齢期というものを過ぎてしまう。
 私は子供の頃から「結婚はつまらない」と教わって育ち、最近では納得できるようになった。自由が失われ、自分らしさが減ってしまうのだ。
 独身時代は、習い事をし、遊びたい時に遊び、苦手な事を避けて通れたが「誓います」により男女問わず時間やお小遣いも減ってしまう。代わりに面倒な責任や義務というものが増える。好きな人と過ごせるのは嬉しいが、本当にそれが幸せなのだろうか?
 私にも婚期は訪れ、異性から胸ときめく言葉を頂くが、次第に会話は「共稼ぎしないと生活が苦しいと思うけど、楽しく過ごそうよ。手料理を食べたいな〜」と理想を言われる。好意をもってもらうのは大変嬉しい事だが、赤く染めた頬の裏側は冷やかになる。「大事に思う相手に苦しい思いをさせてでも一緒になりたい?働いて更に家事をこなせと?」一挙に恋愛感情が失せていく。
 それならば今の生活の方がどれだけ気楽か! 恋愛だけで十分である。やりたい仕事や習い事をし、会いたい時に会う。どうして結婚が必要なのだろうか?
 しかし、今年になってからも数件、上司や親類から縁談を持ち掛けられる。自分らしさを失わない就職口があれば良いのだが…。