パソコンへの長く険しい道 愛と手書きの製陶業 柴田雅光

  今、この原稿を手書きで書いている。というのも長年愛用してきたワープロが先日ついに壊れてしまったからである。その前からフロッピーが調子が悪く、「へへんだ、しょせん文章なんか、はかないものさ。保存なんて邪道さ!」と気にかけずにきたが、今度はプリンターが作動しなくなった。今までも寒い時なんか調子が悪かったのだが、こたつの中にしばらく入れておくと直ったものだが、今回はこたつに入れようが、ストーブの上に載せようが、窯で焼こうが、全く動かない。このままだと、文章を打ったらそのままワープロごと宅配で送らなきゃいけねぇ…。てなわけで、僕はいよいよパソコンを買おうと決心したのである。
 しかし僕はパソコンのことは何も知らないので、パソコンに詳しい本紙・山口さんに相談した。「そりゃあ、柴田さん、ペンティアム256の40ギガだわさ」と呪文のようなことを言う。
「ペンチャンって、2・5・8の筋で、えっと鳥獣戯画って何じゃそれ?」「そんでTAが何たらで、OSが何たらで…」
「OS? OLがオフィスレディだから、OSはオフィスセーラー服? なんかラッキー」
 てなわけで、今度は小出編集長に聞いてみた。
「パソコン? 生意気だ! 何に使うんだ! ワープロ? そんなもん、大須で中古のワープロ一万円くらいで買ってこい! えっ? ペンティアム? 生意気だ! お前なんか、ペンテルか何かで十分だ! とにかく俺は健太郎のことで手一杯だから、くだらないことで電話してくるな」
 ということで、僕のパソコンへの道はかなり険しい。そのうち「ペンティアム71搭載、15480の1万ギガ、ウラDVD10機付き」なんてのが出るまで、買わないかもしんない。